【マーケティング事例】富士フイルムから学ぶ新規事業参入

【マーケティング事例】富士フイルムから学ぶ新規事業参入

テクノロジーは日々進化しており、人々の暮らしを豊かにします。しかし、一方で、企業が最も遅れていることは、破壊的イノベーションや新商品の開発により、自社の市場が陳腐化し、市場そのものが消滅してしまうことです。

今回は、「富士フイルム」の事例を元に、新規事業参入、または、市場消滅の危機に陥った時の対応などを考察していきます。

多岐に渡り事業展開する「富士フイルム」

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富士フイルムと聞くと、カメラのイメージが強いと思います。
元々のはじまりは、1934年に写真フィルムの製造をきっかけに設立された富士写真フイルム株式会社になります。

しかし、現在の富士フイルムの事業内容は、カメラ業界に止まらず、他業界に進出しています。多岐に渡って活躍する富士フイルムは、幾多の試練を乗り越えてきました。まずは、そんな企業の会社概要から見てみましょう。

富士フイルムの会社概要

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FUJIFILMの基本情報

会社名: 株式会社富士フイルム

設立:2006年10月2日(富士フイルム株式会社は、富士写真フイルム株式会社の事業を継承し、新たに設立)

本社:東京ミッドタウン本社

代表取締役会長・CEO:古森重隆

富士フイルムの事業内容

富士フイルムの事業は、「イメージングソリューション」と「ヘルスケア&マテリアルズ ソリューション」の大きく分けて2つ存在します。

それぞれ詳しく解説します。

イメージングソリューション

[画像]FUJIFILM X-T3

イメージングソリューション領域では、カメラ事業になります。
デジカメやチェキ、写ルンですなどが代表例になります。

さまざまな思い出や出来事を写真や画像・映像というカタチにすることで、心の豊かさや人々のつながりを強めることに貢献しています。
FIJIFILMホームページ

ヘルスケア&マテリアルズ ソリューション

ヘルスケア&マテリアルズ ソリューション領域では、アンメットメディカルニーズへの対応や疾病の早期発見といった人々の健康への貢献や、産業の効率化や社会のICT化推進などを通じて、資源循環の促進や気候変動への対応といった環境課題に取り組んでいます。

ヘルスケア&マテリアルズ ソリューションの代表例

機能性化粧品「アスタリフト」シリーズ

[画像]機能性化粧品「アスタリフト」シリーズ

機能性化粧品「アスタリフト」シリーズは、ヘルスケアの代表作です。
写真フィルムの半分はコラーゲンでできており、実は、人間の肌の構造は写真フィルムと共通点が多く、そこに気付いた富士フイルムはヘルスケア領域に参入しました。

新型コロナウイルス感染症の治療薬候補「アビガン」

富士フイルム富山化学が開発した抗インフルエンザウイルス薬「アビガン」
日経新聞より

新型コロナウイルスの感染症の治療薬候補で話題となった「アビガン」。
そのアビガンを製造しているのも実は、富士フイルムです。

ディスプレイ材料

[画像]偏光板保護フィルム「フジタック」

テレビやパソコン、スマートフォンなどの液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ向けの開発。

X線画像診断システム

[画像]AMULET Innovality

1981年に世界で初めてX線をデジタル化した、デジタルX線画像診断システム「FCR」を開発、CRの領域で世界トップクラスのシェアを誇ります。

医用画像情報システム

[画像]SYNAPSE SAI viewer

医用画像情報システム(PACS)は、CT、MRI、CRなどの医用画像診断装置から得られた膨大な画像データを保存、検索、解析するシステムです。

富士フイルムの事業は多岐に渡ります。
では、なぜ富士フイルムは、カメラ業界に止まらず、新たに事業を拡大していったのでしょうか?

それは、技術革新とともに迫りくるカメラ業界の事情にありました。

カメラ業界の動向

カメラの誕生は、1826年にフランスのニエプス兄弟がカメラ・オブスキュラを改良し、8時間かけて1枚の写真を撮影したことが始まりと言われています。

日本では、1857年に、現存する最古の日本人が撮影した写真、島津斉彬の肖像が撮影されたとして知られています。

それ以降、ロールフィルムを用いた小型カメラやカラーフイルムを開発するなど次々と進化していきます。

デジカメの開発

デジカメの開発により、従来のカメラに欠かせなかった写真フィルムなどが必要になくなりました。当時富士フイルムは、写真フイルム市場でも売上高2600億円を超える規模を誇っていましたが、デジカメの開発により、毎年200億円のペースで減少する事態に陥りました。

スマートフォンとGoProの開発

デジカメに続き、スマートフォンやGoProの登場です。

スマートフォンのカメラ機能のアップしたことにより、デジカメや小型カメラの複数所持する必要がないと顧客が思ってしまったことやアクティブな場面で最適なコンパクトカメラGoProの登場により、次はデジカメの市場までが劣勢になってしまいます。

そのため、カメラ業界の過去の業界規模の推移をみますと、2013年から2018年まで減少傾向にあります。カメラ映像機器工業会によると、2019年のデジタルカメラの総出荷台数が前年比22.7%減の1,521万台となりました。

デジタルカメラ出荷台数の推移(世界)

特に、初心者向けのコンパクトカメラの影響が大きく、スマホにシェアを奪われているのが現状です。写真撮影の定番がカメラからスマホへ完全に移行してしまった、いわゆるパラダイム転換が起きたことがカメラ市場縮小の大きな要因と言えます。

参照:業界動向

コアコンピタンスの重要性

「コアコンピタンス」という言葉を聞いたことはありますか?
今から富士フイルムが新規事業開拓を成功させた要因の一つでもあるコアコンピタンスについて解説していきます。

コアコンピタンスとは

コア・コンピタンスとは、企業の中核となる強みのことを指します。

つまり、市場において競争優位性となる要素のことです。
ロールフィルムを用いた小型カメラ消費者に対して、競合企業には提供できないような利益もたらすことのできる、企業内部に秘められた独自のスキルや技術の集合体を指します。

ゲイリー・ハメルとプラハラードが「顧客に対して、他社には真似のできない自社ならではの価値を提供する、企業の中核的な力」として定義している。

グロービス経営大学院

両氏は実例として、ホンダのエンジン技術、ソニーの小型化技術、シャープの液晶技術などを挙げています。

まさに富士フイルムは自社の中核の強みを理解することで、カメラ業界に止まらず、他業界へ参入することができたのです。
では、富士フイルムのコアコンピタンスとは、何でしょうか。

富士フイルムのコアコンピタンス

富士フイルムの改革の中心に据えられたのが、精密な技術力コラーゲンと考えられます。

富士フイルムは元々カメラのフィルムを製造すると前述しましたが、製造するには、マイクロレベルでの精密な技術が必要とされます。
また、フィルムに必要な高純度かつ高品質なコラーゲンを独自に生み出す技術がコアコンピタンスだと考えました。

長年、写真フィルム市場で市場優位だった同社にとって、新規開拓を決断することは容易ではなかったでしょう。
技術的な裏付けだけでなく、その業界でオンリーワンの存在になれるか、会社の思いに合致するかなどを総合的に考慮し、2年がかりで様々な事業を検討しました。最終的に医療分野高機能材料など、いくつかの事業に参入することに決める。

その中でも圧倒的な評価を得ることができた事業が、スキンケア化粧品事業でした。

新商品は、通信販売からスタートしました。
売れ行きは、富士フィルムが化粧品を作ったという話題性もあり、認知度は一気に向上し、予想以上に好調なスタートを見せます。
その後、化粧品の問屋やデパートのバイヤーからの問い合わせも急増し、全国各地に普及していきました。

まとめ

今回は、富士フイルムの新規事業参入の事例について解説していきました。
企業が新規参入を図ることは、マイナスの利益から始まり、結果が予測できないため、決断が難しいものがあります。

しかし、その一歩を踏み出す一つの要因として、いかに自社のコアコンピタンス を理解しているか。次に転用できるかという視点が非常に大切だとわかります。

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