
よく街中で、「期間限定」と書かれた看板や「残りラスト」の商品など見かけたりしませんか?
その際、買うなら今しかない。。他の人に買われてしまう前に今判断しなければいけないなど「焦りや不安」にかられ行動してしまった経験はあるのではないでしょうか。
このような心理傾向を行動心理学では、「プロスペクト理論」と呼びます。
今回は、そんなプロスペクト理論についてご紹介します。
プロスペクト理論とは
プロスペクト理論とは、人間は得をする場合は、確実に得られる方を選択し、反対に損をする場合は、最大限に回避をする選択をするという傾向があるという心理学データです。
もう少し噛み砕いていうと、
人は得をするよりも損をしたくないという思いの方が強いということです。
これは1979年にダニエル・カーネマンとエイモス・トベルスキーによって検証されました。なんと、 カーネマンは2002年、ノーベル経済学賞を受賞しています。
ゲームをして、イメージしてみましょう。

賞金が出るくじ引き
くじ引きA:100%の確率で4,000円をもらえる
くじ引きB:80%の確率で5,000円をもらえるが、20%の確率で0円。
皆さんは、どちらを選びましたか?
多くの人が、確実にもらえるくじ引きAを選んだはずです。
罰金が出るくじ引き
くじ引きA:100%の確率で4,000円の罰金
くじ引きB:80%の確率で5,000円の罰金か、20%の確率で罰金なし。
さて、今回はどちらを選びましたか?
数字は同じにもかかわらず、多くの人がくじ引きBを選んだと思います。
まさにこれが、プロスペクト理論です。
人は得をするよりも損をしたくないという思いの方が強いということですね。
プロスペクト理論の事例
では、このプロスペクト理論はどのような企業で、どのように使われているのでしょうか。
以下を参考にしてご紹介していきたいと思います。
- ヘルシア緑茶
- 美容室のヘッドスパ
- オーガニック食品
- ナポレオン・ボナパルト
ヘルシア緑茶

脂肪を燃焼するで知られている健康緑茶「ヘルシア緑茶」は、このプロスペクト理論と密接に関係しています。
方法としては、ヘルシア緑茶リリース前に、社会人30代〜60代の3人に1人の人々が肥満とされているという事実をプレリリースさせ、人々の頭に埋め込みました。
すると、人々は自身の健康状態に気を遣いはじめます。
そのタイミングで飲むだけで資質の分解・燃焼を売りにしたカテキン緑茶をリリースさせ、市場を制しました。
オーガニック食品

カタログや宣伝で例えば、「農薬の接種しすぎのため赤ちゃんに悪影響が出る」や「日本は世界一農薬を使っている」と知ると、多くの人々は不安に煽られ健康意識やオーガニック食品を意識するようになります。
そうすることで、価格競争や広告費に悩むことなく人々の意識を向けられることができます。
美容院のヘッドスパ

美容院へ行くと、髪を切るだけではなく様々なサービスがあります。
鏡の周りには、「今だけ1000円でヘッドスパキャンペーン」や「整髪料30%オフ」など多くの宣伝が見受けられます。
そのような付加価値があることは素晴らしいのですが、実際多くの人が使うでしょうか。
プロスペクト理論を活用して考えてみると、例えば、頭皮点検などをついでに無料でしてしまい、結果を連絡するというものが挙げられます。
もし、点検の結果が、「頭皮の状態が悪く、改善が必要」と連絡がきたら、あなたはどうしますか。
多くの人が、次回ヘッドスパで改善できるならしてみようと思うはずです。
こちらも価格競争などに悩むことなく、顧客行動を誘導することができます。
ナポレオン・ボナパルト
![41の名言とエピソードで知るナポレオン[英語と和訳] | 名言倶楽部](https://meigen.club/wp-content/uploads/thumb_napoleon-15.jpg)
少し余談ですが、違った視点からみてみましょう。
ナポレオンは、革命期のフランスの軍人・皇帝・革命家と知られ、
フランス革命後の混乱を収拾し、軍事独裁政権を樹立するなど幾多の試練を乗り越えた人物です。その後、イギリス、ロシア、オスマン帝国の領土を除いたヨーロッパ大陸の大半を勢力下に置いていました。
そんなヨーロッパを制したナポレオンが、「人間を動かす2つのテコは恐怖と利益である。」という有名な格言を残していることもまた事実です。
脳科学でみるプロスペクト理論の原理
この現象は、脳内のアドレナリンとセロトニンが大きく関わっています。
アドレナリンとは、皆さんも聞いたことがあるとは思いますが、
興奮状態や活性するときに出るホルモンです。
セロトニンとは、アドレナリンの逆で、興奮状態を抑制し、落ち着かせる働きがあります。
したがって、「期間限定」や「残りラスト」の商品などをみたりして、焦りや不安という状態が引き起こすストレス応答によってセロトニンが分泌されにくくなると、損をしたくないという思いが一層強まり、ついつい手を出してしまうことが多いのです。
同時にアドレナリンが分泌され、興奮性のホルモンを抑制する働きが鈍るため、心身が活発になり、「買う」という決断のスイッチもオンになりやすくなるということです。
まとめ
今回は、プロスペクト理論についてご紹介しました。
人は得をするよりも損をしたくないという思いの方が強いという生き物であり、その行動選択をうまく活用する行動心理学です。
これは、この心理を悪用されるケースもあるので知っておいて損はないでしょう。
価格競争や集客に悩んでいるという方は一度このプロスペクト理論を実践してみてはいかがでしょうか。
Upworkstyleでは、社会人の皆様にお役に立てる情報を随時配信しています。
是非お役位立てると幸いです。
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