
マーケティングや経営学の勉強をしていると、そもそもこの二つはどう違うの?と気になる方も多いのではないでしょうか。
以前、「マーケティング戦略を立案するための手順」について解説をいたしました。
その記事の中でも少し触れましたが、「マーケティング戦略」と「経営戦略」は近しい存在にあり、実際何が違うのかピンとこないことがあると思います。
今回は、「マーケティング戦略」と「経営戦略」の違いについて解説していきたいと思います。
マーケティング戦略

マーケティングとは、アメリカのマーケティング協会ではこのように定義されています。
「マーケティングとは、顧客、依頼人、パートナー、社会全体にとって価値のある提供物を創造・伝達・配達・交換するための活動であり、一連の制度、そしてプロセスである」
アメリカのマーケティング協会の定義(2007年)
しかし、これだけ見るとなんとなくわかるけど、まだ分かりづらいですよね。。
もう少し噛み砕いて一言で表現してみましょう。
ずばり、マーケティングとは、
企業が価値を提供したいお客様を探りだし、そのお客様に自社の製品・サービスを利用し、心を満たすための活動やプロセス
のことを指します。少し分かりやすくなりましたね。
さらに、噛み砕いてみましょう。
注目してほしいポイントが2つあります。
1つ目に、価値を提供したいお客様を探す
2つ目に、お客様に自社の製品・サービスを利用し、心を満たすための活動やプロセス
マーケティングでは、ターゲットとする顧客のリサーチが最も重要なポイントです。
そして、ターゲットを定めた段階で、彼らを満足させるためのあらゆる活動を設定します。
この「顧客を満足させる行動」というのが経営戦略と混同されやすい部分なのですが、マーケティング戦略と経営戦略では、アプローチが異なります。
したがって、ここでいうマーケティング 戦略とは、
「セグメンテーションとターゲティング」、「マーケティングミックス」のことを指します。
それぞれについて解説していきます。
セグメンテーションとターゲティング
セグメンテーションは、普通に訳すと細分化のことですが、
マーケティング用語では、市場の切り分けを意味します。
例えば、商品やサービスを性別や年齢など切り分けることが該当します。
ターゲティングとは、このセグメンテーションで切り分けた市場の中から、狙う市場を決定することを指します。

マーケティングミックス(4P)
マーケティングミックスとは、先ほどターゲティングしたお客様に対する
商品やサービスなどをアプローチする活動のことです。
具体的には、以下の4つの項目で構成され、頭文字のPを取って4P分析とも言われます。

以上がセグメンテーションとターゲティング、マーケティングミックスですが、これらが主にマーケティング戦略の基本・定義となります。
マーケティングミックスについては、詳しくはこちらをご参照ください。
経営戦略

経営戦略は、企業が長期的に利益を獲得するためにヒト・モノ・カネ・情報を配分する活動です。
ヒト・モノ・カネ・情報をまとめて経営資源と呼びますね。
企業にとって一番大切な利益の追求のために、これらの経営資源をいかに有効に配分していくかを決定するのが「経営戦略」です。
経営戦略で考えるべき内容は、大きく分けて3つあります。
・全社戦略
・事業戦略
・機能戦略
以上の3つを言われてもピンとはこないはずです。
図で分かりやすく表現するとこのようになります。

ひとつずつ具体的に解説していきます。
全社戦略
全社戦略とは、自社で取り組むべき事業領域を決定することを指します。
例えば、楽天では、金融事業、モバイル事業、EC事業などがあります。
このように、企業の各事業をどのように展開していくかを決定する重要な戦略となります。
また、事業展開するだけでなく、企業の文化の定着や世間体のイメージをブランディングすることも全社戦略の活動になります。
事業戦略
事業戦略とは、各事業部単位で競合企業とどのように競合していくかを決定することを指します。
全社戦略より、具体的に行動指針を出します。
例えば、競合他社を調査分析し、どのようにして対抗すべきか戦略を練ります。価格競争は、ありがちな手段ですが、それ以上にその製品・サービスの特徴や強みで差別化を図るといったことなど試行錯誤する役割になります。
機能戦略
機能戦略は、事業部内の各部門の活動を具体的に決定していく行動です。
全社戦略・事業戦略を踏まえて、どのように各部門(営業・人事・経理・開発・企画など)が活動するのかを、具体的に決定していきます。
したがって、マーケティング戦略の立ち位置としては、マーケティングも機能戦略の一環と言えます。
機能戦略の中のマーケティング
しかし、お客様に満足してもらうために、どのような製品やサービスを作るべきかと研究開発にマーケティング 戦略がある場合もありますし、
お客様の意見を拾うために、販売にマーケティング戦略がある場合もあります
マーケティング 戦略と経営戦略
さてここで、整理してみましょう。
マーケティングとは、
企業が価値を提供したいお客様を探りだし、そのお客様に自社の製品・サービスを利用し、心を満たすための活動やプロセス のことで、
手段・方法としては、
セグメンテーション、ターゲティング、マーケティング・ミックスを活用しながら行っていきます。
それに対して、
経営戦略とは、
自社が長期的に利益を獲得していくために、ヒト・モノ・カネ・情報を配分していく活動でしたね。
全社戦略、事業戦略、機能戦略を決定し活動していくこと。
つまり、マーケティングは経営戦略のうち、機能戦略の中に含まれているということがわかりました。
まとめ
今回は、「マーケティング戦略」と「経営戦略」の違いについて解説しました。
マーケティングは経営戦略のうち、機能戦略の中に含まれているという意外な事実がわかりましたね。
この原因や勘違いする要因としては、
経営活動は、すべてが連動するため、マーケティング戦略だけにとどまらず、経営戦略、販促活動など相関性が非常に強いことから誤解を生みやすいのかもしれません。
Upworkstyleでは、社会人の方々に便利な現場の知識を日々提供しています。
皆さまのマーケティング活動の参考になれば幸いです。
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